引退ブログ 坂本悠太

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引退ブログ

73期スナイプ級ヘルムスマンを務めました、坂本悠太です。
気づけば引退ブログを書く立場となりましたので、4年間を振り返ってみました。

1年生
 はじめはただただ気の合う仲間たちと八景島で過ごす時間が楽しくて、先輩が憧れで、部に在籍していました。ヨットに乗せてもらうのは新鮮で楽しかったです。秋インで先輩方の勇姿を見てからは、先輩たちのためにも頑張らなきゃと、正直はじめは少なかった熱意が湧いてきたことを覚えています。

2年生
 クルーとして、ただただ目の前のことをこなすことで精一杯でした。先輩方のクルーは楽しかった一方、海上ではただの重りになってしまうことに、ずっと悩んでいました。コントロールロープとハイクアウトに自信がありましたが、コースやヘルムが全く分かりませんでした。手元しか見えていませんでした。その代わり陸上では、同期の誰よりも先輩に質問しようと頑張りました。
 秋インで先輩が引退された後、実質的に最高学年になりました。このタイミングでスキッパーに転向しました。自分なりに頑張りましたが、技術も練習もチームもどれも上手くいかず、次第に部活が辛くなっていきました。

3年生
 春インを終えた後、1ヶ月ほど休部させて頂きました。辞める決心がついた頃、自分を部へ勧誘してくれたOBさんからご飯に誘っていただきました。話をしているうちに、自分でも驚くくらいすぐに、復帰しようという気持ちが湧いてきました。4年間を通して本当にお世話になりました。それ以降、2年の秋インで日置監督が仰っていた「学生生活の時間の大半をヨットに捧ぐとはどういうことか」について多く考えるようになりました。そのうち、ヨット部に対する自分の見方が、「ヨットに乗らされる」から「ヨットに乗る」に変わったように思います。
 復帰後少しして出た7月の東日本スナイプは、初めて心から楽しいと感じたレースでした。レース後のレセプションの雰囲気が好きでした。その後迎えた秋インは、結果は振いませんでしたが、自分にとっては少しの成功体験となりました。

4年生
 練習が楽しくなりました。ヨットも大好きになっていました。前を走れることも増えてきて、それに伴いどんどん課題も見えてくるようになりました。その課題をミーティングで議論するのが楽しかったです。ここになって初めてまともにコンパスが使え、ヘルムを感じられるようになりました。初めて風と船を理解しました。船のチューニングや身体にも拘るようになりました。手元より上を見れるようになったのは、この頃だと思います。その結果、6月の江ノ島スナイプでは、トップ近くを走る経験ができました。海上でペアと感じた高揚感は忘れられません。
 4年の夏合宿は、人生で一番頑張った時期だと誇りに思っています。ずっとヨットのことを考えました。コースの引き方やスタート技術など、記事や書籍を読み学び直し、練習についても考え直しました。具体的な目標を一つ立て、それを海上で意識し評価する。この繰り返しが大切だと気づきました。例えば、出艇前に「今日はメインを風に合わせてトリムできるようになる」と目標を立てたら、毎回のメイントリムで、今回は遅すぎたな、量が足りなかったな、とか評価をします。そのうち「あ、分かったかも」と感じる瞬間が訪れます。目の前のブローを見ればメイン抜くタイミングがわかるな、じゃあもっと海面を見る必要があるなとか、ジブや頬に当たる風の感触でタイミングが分かるな、そしたら頬の風の当たり方で風のシフトを判断できるかも、やってみよう、あ、できたとか、どんどん派生していきます。この感覚が気持ちよくて、現象や行動を言語化できるようになると、前まではなんとなくでやってたんだなってことが分かります。これが楽しいです。練習で抽象的なものを具体化した後、ミーティングで再び抽象化することが楽しいです。成長って直線的じゃなくて、このとき大きく伸びるんだと思います。だから結局、量と継続が大事だったんだろうと思います。

ヨット部で過ごした4年間は、私にとって青春そのものでした。スポーツの楽しさを始めとして、多くのことを学ぶことができました。普通ではできない経験や新しい出会いをいくつもさせていただきました。
ヨットは本当に好きです。色々な楽しみ方があるからです。自然が相手のスポーツなので、強風や悪天候の日は生を感じられて特に好きでした。
この部活で学部生活を過ごせて、本当に良かったです。
都立大学ヨット部の発展を願って今後ともOBとして部に関わらせていただきますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。